大判例

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最高裁判所第三小法廷 平成7年(行ツ)44号 判決

上告人 福永照章 ほか三名

被上告人 福岡県収用委員会

代理人 山下順子

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告人らの上告理由について

記録によれば原審の口頭弁論終結の日は平成六年九月二九日であるところ、最高裁平成六年(行ツ)第三六号同年七月五日第三小法廷判決をもって上告人らの建設大臣に対する本件事業認定の取消しを求める請求を棄却する判決が確定したことは当裁判所に顕著であるから、上告人らが本件訴訟において本件事業認定の違法を主張することは、右判決の既判力に抵触して許されない。したがって、本件訴訟において右違法を主張して本件権利取得裁決の取消しを求めることはできないとした原審の判断は、是認するに足りる。また、本件明渡裁決の取消しを求める訴えを不適法とした原審の判断及び所論のその余の点に関する原審の措置及び判断は、原審の適法に確定した事実関係及び記録に現れた本件訴訟の経過に照らし、いずれも正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、違憲をいう点を含め、原判決の結論に影響のない事項についての違法をいうか、独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判官 園部逸夫 千種秀夫 尾崎行信 山口繁)

上告人らの上告理由

上告理由

原判決は要するに行政追随であり、裁判所の職責放棄であり、原審裁判官らの資質の問題としても決して許される行為ではなく原審裁判官らにも憲法第九九条の憲法尊重擁護義務からいっても行政の終審としての裁判行為の是認は決して許されるものではなく、裁判官としての資質の喪失した人物の行為は無効である。

更に、原判決は明け渡し裁決については却下としているが、憲法第七六条二項により終審として行政は裁判を行なうことが出来ないと定めがあるのに、行政事件訴訟法の規定により行政行為の優先性により執行停止が認められない以上、且つ本件の執行停止も代執行後に訴えの利益が喪失したとして却下されている以上、裁判を受ける権利そのものが保障されておらず、行政による終審の裁判そのものであり、行政事件訴訟法にても救済されない以上原判決が憲法第七六条二項に違背している。

収用裁決取消訴訟等で、日本国憲法第二九条三項についての根本たる正当な保障下において私有財産を公共に用いる事が出来るとした条文を無視して、いずれの事件でも憲法違背の判断を回避しており、本件前提となる処分が単に一審で未判決の補償金増額請求請求事件で保障が実施されれば良いとする一審裁判官の判断と上告人らは意見を別にしており、土地収用法自体が憲法第二九条三項をよりどころとする以上正当な保障とは完全な保障であり、実現不能の裁決により移転を強制されても資本主義経済下の原則では人的経費からいっても実現不能の行為の強制自体が民法第一条二・三項違背であり、一審裁判官は行政行為には民・商法の適用がないとしているけれども民法の基本原則の適用があるのは通例であり、最初に答えありきで一九世紀のオットーマイヤーの世界観の原判決には明らかに法治国家の現体制を否定する以上、行政に直接強制の権能を与えた条文はなく、関係法規が整備されていないのは立法政策の問題であるのに、実質審理の回避は裁判所自体の挙動矛盾である。

尚且つ、訴訟代理人の欠缺は治癒されず、一審の被上告人の答弁書が無効になる以上答弁なき場合の民事訴訟法の規定により、上告人らの敗訴はありえないのであるからして、当然に行政事件訴訟法にも民事訴訟法が適用されるのは顕著な事実であり、その答弁書自体の無効原因としての原判決の有効性には疑問が残り、この点も判断出来ない裁判官らの資質の問題としても公正な裁判が保障されていない違法が存在する。

その外原判決に憲法違背、理由不備又は理由齟齬等の違法が存在する。

以上

上告理由書記載の上告理由

原判決理由およびその過程に次のとおり法令に明らかなる違法・憲法違背等の違法が存在するので上告に及ぶものである。

〈1〉 原判決を担当する鍋山健裁判長につき、裁判を担当する事自体の違法を治癒出来ない違法が存在する。民事訴訟法第三九五条一項二号に違背している。

原判決は上告人らのなした裁判官忌避の申立てを民事訴訟法にない簡易却下により実践された判決であり、それも忌避の対象とされた裁判長鍋山健の個人の独断であり、高等裁判所は合議体というが実質裁判長の独善的専横により簡易却下の上の原判決は明らかに法律により関与する事が出来ない裁判官の関与の違法を治癒出来ない瑕疵が存在する。

(1) 本件事件被上告人訴訟代理人は国の指定代理人であり、別訴にて裁判官鍋山健が国が答弁する以前から未来の意見が同一という間柄であり、およそ法律家としてとるべき行動でなく、憲法第七六条三項の良心からいっても民事訴訟法にない行為の実践からいっても裁判官の良心を逸脱しているのは顕著であり、法律家なら自己が自己の事を裁く事が許されるか充分に知りうべき立場にありながら、今回の判決に関与したことは原判決が公正な裁判を受ける権利そのものを否定している点において、原判決に憲法第七六条三項違背の憲法が存在する。

(2) 憲法第三一条違背の違法が存在する。

本件事件にては最初に答えありきであり、既に国の代理人が本件被上告人の代理人となり、裁判官も国の代理人の意見と裁判以前から判明している以上、公正な裁判そのものを保障し、各種法定手続きの保障した憲法に違背しており、本件事件も実質裁判長鍋山健の独断であり、簡易却下につき他の陪席と合議した事実がない以上、形式的合議体として裁判体の構成に違法があり、原判決に前記憲法に違背している。

(3) 民事訴訟法第四二〇条一項一、二及び民事訴訟法第三九五条一項一、二に各違背する違法が存在する。

前記のとおり裁判長鍋山健には上告人らと直接の利害関係人でありおよそ法律家としてあるまじき自己が自己を裁く悪魔の証明をなしている以上、欧米法及び現行日本国憲法成立の過程からいっても法自体が予定していない行為であり、刑事事件の簡易却下は裁判遅延目的のみをもっての忌避権の濫用を防止する制度があるが上告人らは他の事件の当事者の一方が裁く事を違法として忌避を申立てており適法なる忌避理由を審理する事なく裁判長鍋山健自身が自己で自己を裁き他の陪席に合議する事もなく簡易却下を実践したる以上、高等裁判所という合議体自体が形式的なものである事が判明したる以上、その裁判体構成に前記法令違法が存在する。

〈2〉 原判決は理由二において各明け渡し裁決につき代執行が完了したから『訴えの利益が喪失した』として却下の点につき、次のとおりの法令・憲法違背の違法が存在する。

(1) 原判決に憲法第三二条に違背している違法が存在する。

行政代執行と本件処分は本来独立の関係にあり、別個の処分であると福岡高裁自身が認めており、上告人らは適法に各裁決処分の執行停止を求めたが、その決定は代執行が実施後に訴えの利益が喪失したとして却下されており、行政事件訴訟法に基づく裁判を受ける権利そのものが侵害され、その違法を治癒出来ない違法が存在する。

そもそも裁決直後に上告人らは本件取消請求の提訴並びにその執行停止の申立てをなし、代執行実施後には訴えの利益が喪失したとして門前払いの却下は明らかに法解釈の恣意的運用による違法であり、上告人ら国民が適法に訴えをなしても行政事件訴訟法により代執行自体の執行停止が回復困難な損害が認められないとして認められなかったものであり、そしてその代執行後は一転して裁判の訴えの利益が喪失として門前払いの却下については明らかに国民に裁判を受ける権利及び行政の公権力行使の違法不法を是正する行政事件訴訟法の観点からいっても、国民側たる上告人らに対し裁判上にて執行停止自体が裁判を受ける権利そのものを否定している以上、その点において明らかに憲法第三二条の裁判を受ける権利そのものを侵害している違法不法が存在する。

(2) 原判決に憲法第七六条二項に違背する違法が存在する。

原判決は各明け渡し裁決につき『却下』としている以上、裁く以前に答えが決まっていると裁判上の自白である以上公正な裁判でなく、終審としての行政の裁判行為そのものが是認されている以上、原判決が行政が終審としてなす裁判行為につき司法の権能を廃止している原判決が前記憲法に違背している違法が存在する。

行政行為につき司法の場での是々非々につき判断を求める事が出来ない事実が存在する以上、当然に行政による終審としての裁判行為であるので原判決が前記憲法に違背している。

明け渡し裁決につき却下として判断回避で取消をしない事が確定すれば当然に他に審理をなしても、土地収用法自体からいっても権利取得裁決を経て明け渡し裁決を経る手続き上の流れからいっても、後行処分が先行処分の結果を奪っている点からいってもどんなに審理をなしても結果が最初に決まっている違法は治癒されないし、行政の終審としての裁判行為を是認した原判決に前記憲法違背の違法が存在する。

(3) 訴えの利益が存在する事実認定の重大な誤りについて、経験則違背が存在する。原判決は明け渡し裁決については代執行により訴えの利益が喪失したとし却下判決であるが、そもそも独立した処分及び処分庁が違う行為についての判断の恣意的運用及び明け渡し裁決が違法であれば、それを前提とする後行処分は存在しないのは顕著であり、代執行処分と本件権利取得裁決及び明け渡し裁決につき代執行が完了したら訴えの利益がないとしている点において重大な経験則違背の違法が存在する。

行政代執行は明け渡し裁決の義務不履行を理由とする以上、その明け渡し裁決に違法があれば当然に代執行は存在しないから、訴えの利益が存在し、上告人ら国民に対し新たな損害賠償等の提訴から解放する訴えの利益が存在しており、明らかに原判決が事実認定及び採証法則における経験則に違背している。

行政事件の取消訴訟の通例は既判力が存在しない以上、明け渡し裁決の取消の訴えの利益は存在しており、この点からいっても原判決に経験則に違背している。

(4) 民事訴訟法第三九五条一項六号違背について、

原判決は代執行を実施したら明け渡し裁決につき訴えの利益が喪失したとしているが、そもそも代執行と収用裁決は独立した関係にあるものであり、土地収用法及び行政事件訴訟法のどこ探しても代執行を実施したら明け渡し裁決の訴えの利益が喪失するという理由は導き出されず、且つ代執行取消訴訟においても学説は違法を理由とする損害賠償という訴訟経済上の問題としても訴えの利益を認めており、代執行を理由とする明け渡し裁決の審理の却下につき、その過程が全く不明である点において前記違法が存在する。

(5) 建設省内部規定違背について、

建設省建設経済局長通達・昭和六三年八月三〇日付総収発第一四一号違背及び平成元年七月一四日付経整発第五三号、河総発第一八二号、道一発第三〇号に違背している。

右建設省内部規定は要するに、土地収用法発動のルールとして「事業認定等に関する適期申請のルール化について」の建設省河川局長通達であり、用地取得率が八〇パーセントに達した時又は用地杭打設から三年目のいずれの基準も達成していない段階の事業認定の行為自体が違法であり、原判決に前記違法が存在する。

(6) 判例違背について、

理由附記の違法について最高裁昭和三七年一一月二六日、昭和四九年四月二五日判例に違背している。

河川改修は過去の実績を基に策定基準を設け、経済的制約及び技術的制約という基本原則に基づいても、下流の飯塚市の中心街等の洪水の原因を放置して当該白門地区の上告人らの所に権利取得裁決及び明け渡し裁決をなす理由不備の違法が存在し、起業者の行為の盲目的追従の原判決に行政行為として経済的制約及び技術的制約(この点については最高裁大東水害訴訟において、最高裁自身が国の主張を認めている点からも顕著な事実である。)を無視して合理的具体的理由としての各裁決の適法になる理由が存在しない点において、理由附記に関しての瑕疵が存在する。

また、代執行が終了したら別個の処分である明け渡し裁決の訴えの利益が消失する理由がなく、何故そうなるのか法的根拠の開示がないのは明らかに行政処分についての理由附記の違法が治癒されない。

〈3〉 原判決理由三の1について、判決に影響を及ぼす重要事項の判断の遺脱等の法令違背及び憲法違背の違法が存在する。

(1) 民事訴訟法第三九五条一項六号違背について、

原判決は前記のとおり独立した異なる行政庁の後行処分の結果により訴えの利益が喪失として却下しているが、上告人らの場合は前記のとおり異なる処分の後行処分の結果完了において訴えの利益が喪失として原判決は相手方を利しているが、そもそも土地収用法自体が事業認定告示から行政代執行迄が一体不可分の関係にあり、収用裁決取消訴訟においては事業認定取消訴訟の違法性を承継するのは最高裁判例等から顕著であり、この点からいっても理由齟齬の違法が存在する。

I 事業認定取消訴訟二審口頭弁論後に土地収用法発動の建設省の内部規定が判明し今回稲築町大字山野字白門三三番等の権利未収用の場合には土地収用法発動の基準に達しない違法が判明しており、事業認定告示の手続き自体が内部規定に違背(事業認定区間の収用予定地の八〇パーセント以上の権利取得の事実が要件)している点からいっても当然に憲法第一四条一項の要請及び憲法の比例原則の適用からいっても、建設省内部規定につき土地収用法の発動の基準に違背しており、審理する迄もなく事業認定告示の手続き自体の瑕疵は治癒されず、この点からいっても原判決は代執行迄を一体の処分として審理しているのに、他方事業認定の瑕疵を承継をしないとしている点において前記違法が存在する。

II 事業認定の要件が建設省内部規定に違背し、且つ原判決により稲築町大字山野字白門三三番につき権利未収用が確定するという事は、権利取得裁決の前提となる事業認定告示の事業と全く異なる事業認定であり、収用委員会の使命が公益性を前提として私有財産の公共使用である手続きの前提である以上、その結末が事業認定告示の事業内容と異なる事実の判明の場合に無条件にて権利取得裁決を認める行為自体が許されないのは明らかであり裁決申請につき却下裁決の義務を負い、且つ収用委員は当然に高度の学識経験を要求される以上、事業認定告示に伴う裁決申請につき、その事業と異なる事実の検証も要求されるが、稲築町大字山野字白門三三番は一番河川狭小部分であり、その部分の権利未収用は明らかに事業認定告示の事業内容と事実が異なる違法を検証せずしての瑕疵は治癒されず、事業認定告示に伴い本件各裁決がある以上、その前提の事業認定につき重大な瑕疵が判明したる以上その瑕疵を承継しないというのは明らかに原判決に理由齟齬の違法が存在する。

(2) 原判決に判例違背の違法について、

原判決は事業認定の瑕疵は収用各裁決に承継しないとしているが、別紙添付資料参照のとおり多数判例は違法性の承継を認めており、この点からいっても原判決少数意見の千葉地裁の一例のみでなしているが、この点からいっても理由齟齬の違法を免れず、東京高裁昭和四八年七月一三日判決行裁集二四巻六・七号五三三頁(原審宇都宮地裁昭和四四年四月九日判決行裁集一九巻一一号一七二七頁)、金沢地裁昭和六一年一二月一二日判決・判例地方自治二九号六五頁に違背している。

下級審において、判例は違法性の承継を肯定する場合と否定する場合があり、否定は成田関係のみであり、他方多数判例は肯定説をとっている現状であり、その点につき下級審の判断が分かれている以上、最高裁の職務義務として明確な審理・判断を求める。

(3) 憲法第三二条違背について、

I 事業認定告示及び告示された事業についてその究極は河口から三六・八キロポイントが河川狭小につき拡幅工事と築堤をなす事業であり、原判決により稲築町大字山野字白門三三番の権利未収用が確定したる以上、その事業認定告示の事業が告示された事業と異なるという事実であり、その事業認定告示を前提とする本件事件において事業が成立しない事は法治国家の手続き上判明する顕著な事実であり、事業認定の瑕疵を収用各裁決取消訴訟にては承継しないとしいる原判決は学説及び多数判決に違背しているし、実質審理すら回避し形式的な裁判自体が裁判を受ける権利自体を否定している証明であり、前記憲法に違背している。

II また、日本国憲法第三二条は裁判を受ける権利の形式的事実の構成のみでなく、実質的に資質の備わった裁判官による裁判を予定しており、ましてや憲法第七六条三項からも裁判官の良心を明記している事からも顕著であり、この点からいっても資質の喪失した法の良心でなく裁判長鍋山健自己の良心の行為の判決が公正な裁判を受ける権利の侵害の違法を治癒出来ない違法が存在する。

(4) 憲法第三一条違背について、

日本国憲法第三二条は裁判を受ける権利の保障であり、本件条文は法定手続きの保障であるが、行政事件訴訟法自体が公権力の違法・不当の是正を目的としているのに、事業認定告示の建設省の内部規定からいっても本件一連の手続き自体が違法性を治癒出来ないのに、その違法性を承継しないとしている原判決は法定手続きを保障した前記憲法に違背している。

〈4〉 原判決理由三の2について、法令違背、経験則違背の違法が存在する。

I 経験則違背について、

原判決は、代理人の違法について本件裁決を取消をなすべき事由とはならないとしているが、そもそも行政事件訴訟法第七条により民事訴訟法を準用する事が明定されている以上、適法な訴訟代理人がした行為ではない訴訟行為及び答弁書の効力からいっても、民事訴訟法第一四〇条により既に上告人らの訴状につき争わない意思の明確な表示であり、有効な答弁書が提出された事にはならない以上、原判決が経験則に違背した違法が存在する。

II 民事訴訟法第三九五条一項四号違背の違法について、

原判決は代理人の違法について本件各裁決を取消すべき事由にないとしているが、訴訟代理権がない事は顕著である以上、その欠缺が補正出来ない以上前記違法の違背が治癒出来ない。

III 民法第一〇八条違背による原判決の無効原因について、

そもそも収用委員会の場(収用委員会の行為が前述のとおり終審としての裁判を実践されている現状からいっても)にて、上告人、被上告人、訴外建設大臣(帰属主体たる国)、訴外福岡県代表者奥田八二はそれぞれの立場にて自己の権利と義務の行使及びおのおの主張・手続きをなしており、収用委員会は裁判の行為を実践し、且つ後の不服のある当事者が提訴するのは必定の状況からいっても、およそ法律家なら当然に自己が自己で裁く事を予定していないのは法治国家なら当然に知りうべき事情であり、収用委員会自体が裁決後に当事者の一方が一方について弁護したり代理人をするという事はジャッジと一方の当事者が同一となり、公正な裁判や審理とはいえず、物事の基本としての中立公正を侵害する行為を是認している原判決は明らかに民法の基本原則からいっても双方代理行為自体が無効である。

IV 無効原因から発生する行為についての民事訴訟法から経験則違背について、

信義誠実の原則に違背している。民法第一条二項違背の違法。

行政事件においても民商法の基本原則の適用があるのは通例等から顕著であり、本件事件においては事業認定取消訴訟の国指定代理人が収用委員会の席上では上告人らの一方の当事者として審理に加わり、他方収用裁決取消訴訟にて訴訟代理人を務めるというのは明らかに信義誠実の原則に違背し、収用委員会の構成も高度な学識経験者として弁護士及び大学の教授が委員に存在する以上、国の意見でなく収用委員会の意見として上告人らと対決すべきであり、国の行為の追認の為の審理、処分行為であるならば現行憲法の最大の特徴たる三権分立を否定し、適法な答弁書すら提出しなくても原裁決が維持される事自体が経験則に違背し、更に行政による終審としての裁判行為を禁止した憲法第七六条二項に違背する原判決は明らかに信義誠実の原則を定めた法令に違背している。

V 更に収用委員会の事務局の訴訟代理人の違法について、

収用委員会の席上では、収用委員を補佐する為に土地収用法第五八条により都道府県の職員を充てているが、その収用委員会事務局員が収用委員会を代表する行為に基づく訴訟行為をなす事自体が土地収用法第五八条及び建設省通達に違背している。

更に、上告人らが提起した、福岡県知事奥田八二の代執行関連事件の民事裁判の当事者及び本件事件での訴訟代理人及び民事裁判での福岡県の代理人も勤めている以上、土地収用法第五八条の事務の整理でなく実質的収用委員会の代表し行為をなす事自体が法の趣旨からいっても逸脱しており、その行為の正当性につき明らか信義誠実の原則からいっても無効である。

無効の行為から有効な行為が発生しえないのは行政行為といえども顕著であり適法なる答弁書の提出にはならない以上、原判決は明らかに無効である。

建設省昭和二六年一〇月一三日付、建設管発第九八四号通達

昭和三四年一月二〇日付建設省発計第一号通達

右通牒等において、収用委員会の事務を掌る事務局の人員が収用委員会の代理及び福岡県の代理等務め且つ収用委員会の場においては、上告人らと利害関係のある被上告人、起業者建設大臣、福岡県の各立場において事務を取り扱うのが裁決後は同じ上告人らに対峙する当事者としての代理人になる行為そのものが信義誠実の原則に違背して無効であり、共同訴訟としても無効原因が存在する。

〈5〉 原判決理由三の3について、法令違背、経験則違背の違法が存在する。

I そもそも収用委員会の除斥原因は審理の公正を担保とするものであり、一方の利害関係人の訴訟代理人として長年に渡り職務提供を受けている場合には一方の当事者として公正な判断が出来ない蓋然性が高い事及び当事者からの信頼を得られないから土地収用法にも除斥原因の委員の審理から除外が定められているものであり、最初の段階にては福岡県は審理に関与せず、第一回審理の後の現地状況確認にて取りこぼしが出来るという収用委員長徳本の指示によりあわてて起業者建設大臣が裁決の補正をなした関係であり、その審理の席上適法に上告人らは除斥原因の委員の除斥を求めたら除斥に該当する委員はいないという事であったが、そもそも補正後に関与した事が判明しており、福岡県の立場の職務を遂行する弁護士がその一方の関係者でありながら委員として除斥しない事は信義誠実の原則に違背して無効であり、原判決は経験則に違背している。

II 原審にても指摘のとおり貫委員は福岡県関係の職務をもっており、原審指摘以外にも多数事件を持っている以上、土地収用法第六一条に違背しており、原審及び本件控訴審にても被上告人も認めているとおり当時既に別件にて福岡県の職務を行なっていた事は明らかであり、同法第六一条一項の二号には『起業者、土地所有者及び関係人の配偶者、四親等以内の親族、同居の親族、代理人及び保佐人』と明定されている以上、その『代理人』に該当すれば除斥に該当し、更に本件事件にては被上告人自身が準備書面にて貫委員は福岡県の代理人を務めているが事件が違うというのみの主張をなしている以上、上告人らは民事訴訟法の第一四〇条、二五七条の規定により立証する必要性がなく、要は一方の当事者たる代理人である事実が判明すれば土地収用法により除斥の原因がある以上、収用委員会の構成に違法がある以上原裁決の無効原因としての取消の事由が存在している以上、原判決に判決に影響を及ぼす重要事項につき判断の遺脱及び経験則に違背した違法が存在する。

III 土地収用法第六一条一項二号についての法令解釈につき判決に影響を及ぼす重要事項についての判断の遺脱。

前記IIのとおり土地収用法は土地所有者の代理人として定めているものであり、土地収用法第六一条は審理の場のみで代理人とは明定されておらず、つねならずして利害関係人の除外により審理の公正を担保とする目的で明定されており、この事は同居の親族の除外及び四親等以内の親族の除斥等の明定の経緯から容易に推察される事項であり、土地収用法第六一条が審理の席上と明定していない以上その法令解釈を原判決が誤ったものである。

〈6〉 理由三の4について、原判決に法令解釈適用について、経験則等に違背している違法が存在する。

(1)

I 土地収用法第四七条についての法令解釈適用の違法について、

土地収用法第四七条には本文にて土地収用法の規定に違背する時と、一、二項にて事業認定の計画と事業計画記載書の記載と相違する場合には『却下』裁決の義務を被上告人が負うという法律であり、土地所有者及び関係人を誤るという事実は要するに土地収用法第二〇条二号の要件を否定する事に繋がるので、被上告人に対し法律により却下裁決を課しているものであり、この点の解釈を誤った原判決は明らかに土地収用法第四七条の解釈及び適用につき判決に影響を及ぼす重大な法令違背をなしている。

II 建設省通達違背の違法について、

昭和二八年二月一九日付建設計和第五号、和歌山県知事あて計画局長回答

原判決摘示は要するに上告人らに対し意見を述べる機会を保障したから却下する義務はないというが、そもそも土地収用法第四七条の本文関係の土地収用法違背については建設省通達によっても「土地所有者関係人を誤った裁決各申請につき、収用委員会には却下裁決を課す義務」を指導しており、この通達からいっても挙動矛盾の原判決は明らかに平等・比例原則に違背しており、建設省内部規定を起業者たる建設大臣が守らず、力が正義の実践の原判決は明らかに挙動矛盾の行為及び建設省内部規定違背の違法は治癒されない。

III 事業認定の告示された事業及び計画書記載の内容と異なる事実についての判断の遺脱に関しての却下裁決をなさなかった違法。

本件事業の要旨は上告人らの所有土地が存在する右岸側に河川狭小が存在し、現行推定毎秒二〇〇トンであり、計画高水流量たる毎秒一一五〇トンを確保出来ないというもので、併せて県道飯塚山田線としての道路機能を維持する為に現事業計画をなしているものである。

しかしながら、稲築町大字山野字白門三三番の入会地の権利消滅の手続きをしなかった以上、その事業計画及び事業計画書記載と本件事業が著しく異なるというのは一番河川狭小部分の権利消滅を計らないという事実からいっても事業認定告示の事業と実際が著しく異なる事情が存在するのは学識経験を有している被上告人には充分知りうる事情にあり、この点につき判断なくしての原判決に明らかに事業認定告示の計画と異なる事業につき却下裁決をしなかった違法を免れない。

また、事業認定取消訴訟にての起業者建設大臣の主張は現行の道路機能を維持する為として堤防法線を決定したとしているが、起業者建設大臣は平成六年一〇月頃から平成七年六月迄事業認定区間を事業認定本体工事と全く異なる堰の改修工事により通行止めになしている以上、ましてや上告人ら以外に法的に支障があるとして権利の行使をなしたものがいない事実からいっても、事業計画及びその計画書についての収用委員会の職務遂行の義務を怠り、事業計画と異なる事実についての判断の遺脱による却下裁決をなさなかった違法は治癒されない。すなわち、道路機能を併設する事業計画に通行止めの工事は明らかに内部矛盾を含んでいる事につき学識経験のある収用委員には十分理解出来る事情であり、この点からいっても原判決に却下裁決をなさなかった違法が存在する。

IV 挙動矛盾の行為についての違法。民法第一条二項及び民法第一条三項違背。

土地収用法は各種権限を起業者に付与し、その調査権限を与えている以上且つ原判決理由二のとおりの明け渡し裁決につき門前払いの却下であるならば当然に土地所有者及び関係人を誤った場合においては取り返しの着かない事態になるのは必定であり、その為に土地収用法の規定に違背する時も法がわざわざ「却下」しなければならないとしているのは行政の暴走を防ぐ法治システムであり、この点を否定している原判決は法の趣旨を全く理解していないか、又は独善的専横によるものであり、この点からいっても原判決に民法第一条二項違背の違法及び一条三項の権利の濫用の違法が存在する。

V 憲法第七六条三項違背について、

原判決は土地所有者関係人を誤った場合にも、収用委員会は申請を却下することなく、裁決手続きを開始して職権による調査等に基づいて裁決をする事が出来るというものであると摘示しているが、これを民事裁判に置き換えれば当事者を間違った場合には当然に無関係人にはその効力が及ばない事及び訴状却下が通例であり、現実に上告人らにも河川改修工事差し止め請求事件において、土地収用法の起業者たる建設大臣を訴えたら福岡地裁・福岡高裁は民事訴訟法第四五条の規定により民事裁判の当事者適格を問題として却下されている事実が存在しその仮処分事件は原判決担当裁判官らであり職務上顕著な事実であり、裁決申請につき『補正命令』なくしての裁決申請の記載と異なる裁決が出来ない事は収用委員会が民事特別法たる土地収用法によりその根拠を置く以上、司法権を侵害する行為が出来ない事からも各種制約の下に短期間にて事業の完成による公益を前提として職務権限が特定されており、民事裁判にても訴状提出後に当事者を誤った事が判明しても裁判官が職権にて当事者氏名の訂正し無関係人に対しても判決の効力を与える権限がない以上、憲法の平等・比例原則に照らしても原判決に裁判官の独善的専横が存在し、収用委員会の職務権限を過大にし法にない行為を是認している点において前記憲法違背の違法が存在する。

VI 憲法の比例原則・平等原則についての違法。

収用委員会には職務権限が行政行為として日本国憲法に基づく司法権の存在する裁判官以上の権限及び民事訴訟法の観点からいって原判決が収用委員会の職務権限を前記Vの記載のとおり過大にしている点において、比例原則・平等原則に違背している違法が存在する。

(2) 憲法第三一条に違背する違法について、

収用委員会の職務に関して第四七条の通例は『却下』裁決の義務を課しているのは法文明定上から顕著であり、且つ収用委員会には最初から権利者不明の場合として申請されたときには出来る行為であってもその理由の開示が要求され、不明裁決申請の場合には原判決の摘示になるかも知れないが、原判決は上告人ら指摘のとおり土地所有者及び関係人を誤っており、その補正なくしての原判決は明らかに法定手続きを保障した前記憲法に違背している。

収用委員会に対しの職務権限が土地収用法文上の明定事項がない事からも顕著であり、過大な職務権限を被上告人側に認めている原判決に法定手続きを保障した憲法に違背している。

(3) 憲法第七六条二項に違背する違法について、

原判決は過大に収用委員会の職務権限を認めているが現憲法制定の経緯からいっても行政の独善的専横による第二次世界大戦の反省を含め司法権による権能を認めているのに、収用委員会の職務権限を過大になし、その是正を求める手続きさえ、明け渡し裁決の却下という事実により既に行政の終審としての裁判行為の実践を黙認し、更に民事訴訟法にても訴状に例えるならば裁決申請書自体の当事者が違っても行政なら何でも出来るというのは明らかに、行政の終審としての裁判行為の実践でありこの点からいっても原判決に前記憲法違背の違法が存在する。

(4) 判決に影響を及ぼす重要事項の判断の遺脱又は証拠によることなくした違法。

原判決は被上告人が上告人らに主張の機会を与えた上での土地所有者・関係人を認定していると摘示しているが、そもそも上告人らは土地収用法による事業認定告示から一連の行為につき異議を申し述べた関係であり、前記のとおり権利取得裁決及び明け渡し各裁決につき、適法に異議を述べた事であり、被上告人がかならずしも上告人らを真の権利者として発言の機会を与えた証明が本件記録上なく、行政事件の立証配分責任からいっても判決に影響を及ぼす重要事項の判断の遺脱又は証拠によることなくした違法が存在する。

(5) 原判決に民事訴訟法第三九五条一項六号違背の違法について、

被上告人に対し土地収用法第四七条は却下裁決の義務を課しているのは顕著な事実であり、職権調査事項により裁決権限があるとする原判決は収用委員会の職務範囲につき過大な評価をなしており、土地収用法自体に収用委員会の裁量によりどうにでもなるとの摘示は明らかに職務権限の踰越であり、土地収用法第四七条及び前記建設省内部通牒からいっても却下裁決義務が課せられている以上、その判断過程及び原判決に至った過程が全く不明であり、理由不備・齟齬の違法が存在する。

〈7〉 理由三の5について、原判決に法令解釈・適用等につき違法が存在する。

(1) 法令解釈の違法について、

原判決は土地収用法第四八条四項の規定により被上告人に土地所有者の認定権限があると摘示している点において、法令解釈の違法が存在する。

右条文は適法な各裁決申請に基づき、土地所有者及び関係人ごとの細目別補償金を明示しなさいと明記してある条文であり、法令解釈の違法が存在する。

(2) 土地収用法自体の考察からの経験則違背について、

土地収用法は短期間に権利の消滅を計り公益性の事業を推進する法律であり、通常の手続きでは、憲法の財産権の保障により事業遂行が出来ない行為でも正当な補償の下に私有財産を公共に用いる事が出来るという憲法第二九条三項により成立した法律であり、物事を通常裁判でも土地争いは十数年の審理を要するのは顕著な事実であるのに、短期間(通常裁決申請後三ヵ月が明定されている。)に被上告人の調査権限があり、真の権利者確定権限があるとする条文を土地収用法第四八条四項より導き出す行為自体が真意不明であり、裁決書記載方法の一例の明文規定が何故土地所有者確定権限に繋がる法的理論が不明確であるので、明らかに証拠採用及び事実認定に関して判決に影響を及ぼす重要事項につき、経験則違背の違法が存在する。

(3) 原判決が憲法第七六条二項に違背する違法について、

原判決は前記のとおり被上告人に土地所有者の確定権限があると摘示しているが、上告人ら国民らは憲法に基づく権限により裁判所において土地所有権の確認等により自己の権益保護という法治国家の手続きにより認められているが、収用委員会に土地所有権の確定権限があるというが、そもそも明け渡し裁決につき行政代執行が完了したら訴えの利益がないとするならば、行政による終審としての裁判行為そのものであるからして、その点につき国民たる上告人らに保障された権限を無視した原判決が前記憲法に違背している。

(4) 原判決に憲法第三二条違背の違法が存在する。

原判決は収用委員会に土地所有権の確定権限があるとしているが、そもそも上告人らの場合は訴外辻田由喜年との間の土地所有権を巡る紛争であり、この事は通常家庭裁判所の調停前置主義をとり、通常裁判所及び行政機関の介在を廃し家庭裁判所を経て、通常裁判になるか、審判に対しての不服の場合高等裁判所の管轄になるものであり、裁判所においても民事訴訟法による管轄権が存在するのに、収用委員会にはそれらの法規を無視し土地所有者の確定権限があるとするのは憲法第三二条の裁判権そのものを行政が奪うもので違法である。

(5) 土地収用法第二〇条二号の考察からの原判決の経験則違背について、

本来収用委員会は起業者らの申立てた裁決申請につき応答する義務を負うものであり、収用委員会が独自の権限により真の土地所有者及び関係人の調査義務を負わない事は同法四七条本文規定により裁決申請の記載を誤った場合に『却下裁決』義務が課せられている事からも顕著であり、建設省通牒によっても実務も顕著であるからして、その職務範囲として裁決各申請の記載と事実が合致するかの職務権限しかなく、真実の土地所有者及び関係人確定権限はなく、その為に土地収用法第二〇条二号は起業者に能力を求めているものである。

右条文の能力には東京地裁判例等から既に明らかにされているとおり、事業遂行の意思及び能力として法的能力・実際的能力・経済的能力を求められている以上、その調査の結果としての裁決申請の記載事項(特に権利関係に対する記載のものであり、私有財産を補償の基に剥奪する行為であるからして十分な調査能力が要求されるのは顕著である。)の確認作業に留まるものであり、その調査により裁決申請の記載事項が判明したら、前記のとおり却下裁決しか職務権限がないのであり、原判決は明らかに経験則に違背している。

(6) 建設省内部規定による土地所有者及び関係人を誤った違法が治癒されない事実及び原判決をなした裁判長鍋山健はその事実を上告人ら関係の昭和六一年ネ第五〇九号離婚裁判の控訴審担当として十分に知りえた事実からの起業者の故意の誤りについて裁決申請を是認した違法が信義誠実の原則に違背する事について、

本件関連事件として上告人らは裁判官鍋山健の忌避の申立てをなしているのは顕著な事実であり、その記録上訴外辻田由喜年と上告人福永千鶴子の離婚審理中、起業者建設大臣は裁判官鍋山自身らが和解勧試の際に訴外辻田由喜年側に建設省が本件事業に関して意見具申をした事実を職務上熟知していた事及びその和解勧告を拒否したという理由により一審認容の慰謝料を排斥しているが、当然に財産分与は一審を是認した事も事実である。

そうすると建設省内部規定によると被相続人辻田国衛(上告人照章らの祖父に該当)の生前贈与を受けたものは土地収用法の交渉の対象とはならない事実を熟知している以上、故意に建設省が土地所有者及び関係人を辻田由喜年と記載を誤った申請を適法として却下しない理由につきその判断過程が不明であり、建設省内部規定によっても真実の土地所有者でない人物を裁決各申請書に記載した事実を担当裁判官が別訴にて熟知している以上、その裁決申請手続きの瑕疵が治癒されないのに、被上告人の職務権限を過大に評価しているが、そもそも裁決申請記載自体の瑕疵が治癒されない以上、被上告人側の職務権限の裁量範囲とする原判決は明らかに信義誠実の原則に違背している。

調査範囲を超えて不明の場合には、土地所有者及び関係人につき「不明裁決」をなす事が認められている事及び土地収用法第四八条四項但し書きのとおり不明裁決の場合の記載要領からも顕著であり、この場合に起業者建設大臣の裁決申請につき故意の瑕疵が存在する以上、その瑕疵を被上告人の職務権限の解釈により救済するのは明らかに信義誠実の原則に違背している。

(7) 憲法第三一条に違背する違法。

原判決は収用委員会に土地所有権の確定権限があるとしているが、そもそも土地収用法自体にもなく、通例によっても収用委員会は争いがあり、裁決日時迄に裁判等に確定した権利につき判断をなせるのみであり、職務権限の過大の解釈は法定手続きを保障した憲法に違背している。

(8) 原判決が民事訴訟法第三九五条一項六号に違背する違法。

原判決は土地収用法第四八条四項により収用委員会に土地所有権等の確定権限があるとしているが、同法同条五項によれば裁決の時期迄に権利の存否が確定しない場合が存在する事自体が原判決摘示との間に挙動矛盾があり、この点からいっても原判決の判断過程につき重大な理由齟齬の違法が存在する。

〈8〉 原判決理由三の6について、法令解釈・適用等の違背の違法が存在する。

(1) 理由齟齬の違法について、民事訴訟法第三九五条一項六号違背の違法。

原判決は土地収用法第四八条一ないし三項のみで起業者等が申立て範囲の裁決義務を負うと明文しているが、実際には起業者のみの意見のみで審理した違法が治癒されず、稲築町大字山野字白門三三番の入会地及び御神木に関して、上告人らは適法に被上告人に対し権利の申告をなしており、土地収用法第四八条三項『収用委員会は、第一項第二号に掲げる事項については、第四〇条の第一項の規定による裁決申請書の添付書類並びに第四三条、第六三条第二項若しくは第八七条ただし書の規定による意見書によって起業者、土地所有者、関係人及び準関係人が申立てた範囲をこえて裁決してはならない。』と明定されおり、上告人らは事業認定に対する異議申立書として適法に意見書を提出しており、既に意見書にて権利申告は訴外起業者建設大臣の認めるところであり、起業者の意見は今回の事業認定の対象とはならないというのみであり、上告人らは適法な申述手続きをなしている以上、被上告人の職務義務違背が顕著であり、この点からいっても上告人ら提出の意見書及び同法第二項の『収用委員会は、前条第一項一号(収用する土地の区域並びに使用の方法及び期間)に掲げる事項については、第四〇条第一項の規定による裁決申請書の添付書類によって起業者が申立てた範囲内で、且つ事業に必要な限度において裁決しなければならない。ただし、第七六条第一項又は第八一条第一項の規定による請求があった場合においては、その請求の範囲内において裁決することができる。』と明定されている以上、事業計画上稲築町大字山野字白門三三番は必要性は顕著であり、その部分につき上告人らは意見書にて権利主張をなしている以上、収用委員会たる被上告人が判断の回避をなす事は職務上許されず、この違法性は治癒されず、土地収用法を発動し権利収用及び明け渡し裁決を求めるのにその事業認定及び告示された事業と異なる行為を是認する原判決に理由齟齬の違法が存在し、裁決を是認するなら何故事業に必要な土地が裁決しなくて良いか、また上告人らの権利につき裁決をしない事の適法性の証明なくしての原判決を導いている点において判断過程が全く不明であり、完成を予定しない事業に権利取得裁決・明け渡し裁決を申請する事自体が挙動矛盾であり、原判決に理由齟齬の違法が存在する。

(2) 原判決に信義誠実の原則に違背する違法が存在する。民法第一条二項違背。

原判決はすべての権利取得の必要性を否定しているが、そもそも原判決援用の土地収用法にも前記のとおり上告人らの意見書の記載についても裁決義務を負う以上、その権利消滅を計らなくて良いとする原判決は土地収用法が収用委員会に付与した職務権限を逸脱しており、要は収用委員会は行政行為として短期間に私人の権利を消滅する手続きの適法・公正を担保として設置されているものであり、事業計画内の権利の消滅をしないという事実は告示された事業計画が異なると被上告人自らが認めた行為であるからして、土地収用法第四七条一項、二項により却下裁決の義務を当然に負う事になり、この点からいっても事業認定告示と収用委員会の職務範囲について信義誠実の原則に違背する違法が存在する。

(3) 原判決に憲法第三一条違背の違法が存在する。

前記(1)、(2)のとおり上告人らは適法に意見書により稲築町大字山野字白門三三番の入会地の権利及び御神木の権利の申告をなしており、前記のとおり土地収用法第四八条三項にて意見書にての申述も裁決の対象となりうるのに、すべての権利の消滅をなさない行為の是認の原判決は上告人らの権利の行使につき法定手続きを認めていない事は顕著であるからして、この点において原判決に前記憲法違背の違法が存在する。

(4) 土地収用法第四八条三項違背の違法。

前記(1)、(2)のとおり被上告人に上告人らが意見書にて申述した稲築町大字山野字白門三三番及び御神木の権利について、被上告人が裁決しなかったのは職務義務違背の違法であり、この点は治癒されず、更に事業認定告示の事業が成立しなくなる裁決自体の違法は断じて許されない。

(5) 原判決に憲法第二九条三項違背の違法が存在する。

事業認定区間及び事業認定告示後の手続きとして上告人らは適法に権利申告をなしたるのに、且つ土地収用法第四八条三項は上告人ら土地所有者及び関係人の意見書によって裁決を求められている以上、その裁決をしない行為を是認した原判決は土地収用法の根本法規が憲法第二九条三項である以上、その補償の裁決なくしての事業認定告示の事業遂行という事実行為により、既に憲法第二九条三項違背は顕著である。裁決書自体の瑕疵は治癒されない。

ましてや、前述のとおり原判決は明け渡し裁決の却下という事実である以上、正当な補償なくしての私有財産の権利の剥奪行為であり、収用委員会自体の職務懈怠により既に収用委員会自体の存立すら否定しており、上告人らの権利の消滅をしないという事はすなわち告示された事業と実際が異なるという起業者の自白である以上、その事業遂行を是認する行為自体が違法であり、正当な補償下のもとに私有財産を公共に用いる事が出来る条文からいっても、告示された事業に公共及び公益性を論じる余地はなく、その点からいっても原判決に前記憲法違背の違法が存在する。

(6) 原判決に理由不備の違法が存在する。民事訴訟法第三九五条一項六号違背。

原判決は「……すべての権利取得をなしていないからといって違法ということは出来ない。」と摘示しているが、そもそも裁決の違法を理由として上告人らはその取消を求める行政事件を提起しており、前記のとおり土地収用法第四八条三項にて上告人らの意見書にても裁決義務が課せられている被上告人が公正中立な職務をなした場合には何故上告人らのに権利消滅の手続きたる裁決をしなかった点につき、原判決理由は明らかにしておらず、この点からいっても原判決に理由不備の違法を免れない。

(7) 原判決に憲法第一四条一項違背の違法が存在する。

原判決は被上告人が上告人らの権利の消滅をしなかった事は違法ではないとしているが、そもそも上告人らの裁決申請は意見書によりなされる事が原判決摘示の土地収用法第四八条三項にて明らかであり、この点からいっても上告人らの権利につき裁決をしなくて良いという過程等が全く不明であり、被上告人にも中立公正が要求される以上、土地収用法自体が私人の権利の侵害の適法行為の不法行為を前提とする以上、その権利につき裁決をしなかった点において前記憲法に違背した不当差別行為であり、違法である。

(8) 原判決に憲法第一五条二項違背の違法が存在する。

前述のとおり、原判決をなした裁判長鍋山健は国が答弁する以前に国の意見と同一という人物であり、本件事業は起業者は建設大臣であり、その帰属主体は国であり、上告人らの稲築町大字山野字白門三三番及び御神木の権利消滅を計らないという事実は土地収用法第二〇条二号の明定の『能力』たる経済的能力もない事を追認するので、裁決しなかったものであり、事業認定の要件たる土地収用法第二〇条各号のチェックは当然に収用委員会にても審理の対象であり、(土地収用法第四七条本文明定条項からも顕著な事実である。)国の場合には予算的裏づけのない事業計画自体も事業遂行能力がないのは顕著な事実であり、権利の消滅の手続きたる裁決をしないという事実は土地収用法第二〇条二号の法的能力・実際的能力・経済的能力の缺ける起業者の行為を正当化し、上告人らの適法な権利申告につき裁決義務を放棄している被上告人の行為を是認した原判決は一部の者に荷担した行為であり、前記憲法に違背している。

(9) 原判決に憲法第七六条二項に違背した違法が存在する。

原判決は前記のとおり全部の権利の消滅をしなくても違法ではないというが、そもそも行政行為は終審としての裁判行為を禁止しているのは、行政行為は自己が自己で策定し、計画を認可しているからであり、司法作用としての権能を否定し原判決のとおり行政代執行が完了したら明け渡し裁決の訴えの利益が喪失したとして、且つ上告人らの意見書記載事項につき被上告人に裁決義務があるにもかかわらず、違法がないとするのならば当然に行政による終審としての裁判行為の是認であるからして原判決が裁決義務を負うのに、裁決の恣意的行為を是認している点において前記憲法に違背している。

(10) 原判決に土地収用法第一六条に違背する違法が存在する。

事業認定は最少必要一単位を事業単位として事業認定をなすべき義務があり、高速道路の場合にはインターからインター迄、鉄道事業の場合であるならば駅から駅迄という最少一単位を事業単位として事業認定を要する事は土地収用法第一六条から顕著であり、事業認定の必須要件としての『公益性』確保が前提である以上、起業者及び被上告人が恣意的に選択的収用は許される筈もないのは職務上顕著な事実であり、この点から原判決が前記法令に違背している。

ましてや、高速道路の場合の様な莫大な費用及び建設日数がかかる場合には土地収用法第三一条ないし第三四条の六にて手続き保留が義務づけられており、事業認定区間としての一単位の総ての権利消滅をしない事は事業認定失効という事実のみが顕著となり、一方で事業認定をなし、選択的裁決申請により事業認定を失効させる行為が被上告人及び起業者に許される筈もない事は土地収用法第二〇条各号に基づく要件を満たさないという反射的に導き出される理論であり、その点を斟酌しない原判決は明らかに土地収用法第一六条について、法令適用解釈に重大な瑕疵が存在する。

事業認定の必須要件は『公益性』であり、通例判例は公益性については事業が完成して現に供用を開始した後に発生するものであるからして、最初から権利取得裁決をしないで事業を完成させない行為を是認出来る権限は被上告人にも起業者にもない以上、すなわち、公益性が前提の事業につき事業認定から一連の収用各裁決等の手続き自体が権利の濫用となる以上、被上告人が公益性を無視する職務遂行が出来ないのは顕著な事実であり、土地収用法第二八条の三は何人にも都道府県知事の許可を受けずに事業認定区間の土地の形質に変更を及ぼす行為が出来ない事からも顕著であり、建設省内部規定にも権利未取得での工事禁止を定めている以上、選択的裁決申請が許されないので、原判決に前記法令解釈適用につき重大な瑕疵が存在する。

〈9〉 原判決理由三の7について、法令違背等の違法が存在する。

(1) 原判決に挙動矛盾による無効原因が存在する違法。

原判決は「昭和三〇年ころから立ち退き話が出ては立ち消えになる事が繰り返されているからといって収用の必要性及び緊急性がないとはいえない。」と摘示しているが、上告人らの所を流れる川は通称嘉麻川と呼び河口付近が遠賀郡であった為に遠賀川という一般名称になっているが、遠賀川は嘉穂町を源流として稲築町、飯塚市、小竹町、直方市、中間市、等を経て河口に至る河川であり、河川防災上の技術的制約として、常々御庁等で国が主張してきたのは下流からの整備が基本である事実と飯塚市の中心街は昭和四三年以前の基準の整備しかなされておらず、事業認定取消訴訟の判決書記載のとおり上告人らの当該白門地区の水位の上昇がなくても飯塚市中心街等は河川敷駐車場も恒常的に水没し、更には警戒ラインを容易に突破する事実があり、この点を上告人らは立証しており、事業認定取消訴訟にても認定された事実であるから、ましてや国(起業者建設大臣でも帰属主体は国であるからして問題はない)が河川水害訴訟にて、経済的制約によっても一朝一夕に事業が完成しないから下流からの整備が基本原則と認めている公知の事実と、飯塚市の上流約四キロの上告人らの所が、河川防災処理上の洪水防止の事業なら飯塚市中心街の洪水の原因の除去を放置して迄も当該白門地区の事業認定が優先される事由になく、起業者の行為自体が挙動矛盾で無効であるのに、裁決申請を却下しなかった点において必要性及び緊急性からいっても、水は方円の器に従うの諺どおりに、下流の洪水を原因放置して当該白門地区の上流が優先される事由がなく、明らかに原判決に挙動矛盾の違法が存在する。

裁判官は当然に一般常識を備えている以上、河川を河口から源流迄の断面状況を把握していれば当然に上告人らの所に位置するところよりも下流の飯塚市中心街芳雄橋・新飯塚橋等の撤去及び河川の拡幅をなす必要があれば経済的制約下の優先順位から考えれば、当然に洪水原因を放置する事が国に許されるのかを判断すれば容易に判明する事情であり、この点からいっても緊急性と収用の必要性は排斥されるのは顕著であり、この点からいっても原判決の挙動矛盾は解消されない。

(2) 原判決に判断の遺脱の違法、判決に影響を及ぼす重要事項の判断の遺脱の違法が存在する。民事訴訟法第四二〇条一項九号違背の違法。

現在の計画は昭和四九年一月一日付遠賀川河川整備基本計画であり、計画高水流量を当該白門地区で毎秒一一五〇トンであるが、この計画は既に昭和四七年度建設省事業として当該白門地区が築堤の為の立ち退き対象としての用地取得の具体的予算計上されたる事業の築堤工事の際には策定過程であり、昭和四九年七月時点では既に計画発表されていたものであり、その基準にて安全として特定行政庁たる建設大臣が事業計画の撤回をなしたる以上、上告人らの立ち退きの目的たる築堤工事としての立ち退きの必要性を将来に向かって否定している以上、その緊急性及び必要性を解く以上、『行政の撤回権行使の法理』につき判断を回避の上の原判決に前記違法が存在する。

上告人ら独自の試算による計算でなく、建設省の説明にて安全を宣言したる以上安全基準を満たしている状況下で収用の必要性及び緊急性に繋がる理由が不明であり、撤回権行使の法理からいっても収用の必要性及び緊急性が認められる過程が全く不明であるからして原判決に判断の遺脱の違法が存在する。

(3) 事業認定に関する建設大臣の職務行為の瑕疵について、違法性の承継の観点からの瑕疵の違法が存在する。

事業認定は国が認定するものであり、事業認定は個々具体事業につき起業者の能力、起業地及び事業計画を検討し、当該事業が高い公益性を有しなければならないのは顕著であり、被上告人に土地収用法第四七条本文による却下裁決義務を課している以上選択的裁決が出来ない事及び公益性からいっても完成がない事業につき収用の必要性及び緊急性の大前提たる『公益性』が発生しなくなる以上無意味な事業につき収用各裁決をなす事は権利の濫用であり、この点についても被上告人にも土地収用法第四七条の本文規定からもチェック義務があり、違法性につき承継する以上完成しない行為を是認する被上告人の行為自体が権利の濫用であり、公益性の問題としても完成未定状況下の収用各裁決の無意味さを論じるのに多言を要せず、緊急性及び必要性は論じる迄もなく発生しないから原判決に治癒出来ない瑕疵が存在する。

(4) 原判決に憲法第一四条一項に違背する違法が存在する。

原判決は行政追随で実質審理を回避しており、国民に法の下の平等の原則からいって国民の安全基準に二重基準が存在するのに、且つ現在の一般河川の国の安全確保義務は河川審議会策定で現在一時間降雨量五〇ミリであり、事業認定取消訴訟にても認定のとおり平成三年七月二七日の集中豪雨二時間雨量二〇〇ミリ一日雨量二八〇ミリ(年間の降雨量は年間一千数百ミリであり、短期間での豪雨にても当該地区には河川水位の上昇もない事実から緊急性・必要性の欠落は顕著)にても当該白門地区には河川水位の上昇はなく、飯塚市等の中心街等は堤防内浸水の状況が発生していたが、何故飯塚市中心街等の洪水の原因を放置して当該白門地区の築堤工事が優先される事由がなく、その判断基準を明確にしない原判決に国民選別の二重基準の違法が存在し、前記憲法に違背している。

(5) 原判決に憲法第一五条二項に違背する違法が存在する。

公共事業ましてや前記のとおり行政の撤回権行使を実施したのち、更に同一事業を遂行し、土地収用法を発動する事自体が権利の濫用及び一部の工事関係者の為の工事確保の事業については公益性が全くなく、現在も恣意的収用の為目的事業は完全未定の状況であり、完成もしない事業に土地収用法を発動し、緊急性及び必要性につき明確な基準を示さず行政行為の無責任の追随をしている点において原判決に前記憲法違背の違法が存在する。

行政の撤回権行使たる昭和四九年七月時点では現行の河川基準は策定済で、その基準にて特定行政庁たる建設大臣の安全宣言がなされており、計画高水流量毎秒一一五〇トンは変わらないのに、建設大臣が変われば安全・危険が変遷するという行為自体に挙動矛盾が存在し、工事確保の為だけに事業認定等一連の収用手続きをなす自体が前記憲法に違背する。

(6) 原判決に法定手続きを保障した憲法第三一条に違背した違法が存在する。

原判決は、土地収用法の手続きの前提たる収用の緊急性及び必要性につき、昭和三〇年ころから立ち退き話が出ては立ち消えを繰り返しても必要性を認めているがそもそも、昭和三〇年代の基準及び現在の基準となった昭和四九年一月一日付を起算としても事業計画から二〇年を経過しており、本件事業認定の計画書は昭和五三年開始であり、土地収用法第二六条一項によって告示された事業と異なるというのであるからして、土地収用法の前提たる公益性及び緊急性がいずれも存在しない以上、本件収用各裁決の違法は治癒されず、且つ土地収用法には閣議決定により権利の濫用を戒めており、この点からいっても建設省内部規定にも違背しての収用自体が法定手続きを定めた前記憲法に違背しており、明らかに権利の濫用である。

(7) 原判決に憲法第七六条三項違背の違法が存在する。

原判決は前述のとおりに最初に答えありきで、明け渡し裁決につき却下判決を審理以前からなしているという事はどんな立証をなしても権利取得裁決の取消を絶対に認めないというものであり、行政代執行が完了したら訴えの利益が喪失するという法的根拠もなく、ただ行政追随の不当な判決をなし、更に土地収用法については権利の濫用にならない様に国会の付帯決議もなされており、私権の長期間に渡る制限及びその立ち退きに翻弄された上告人ら国民の権利の観点からの収用の前提となる事業の公益性の観点が原判決理由からも全部の権利の消滅を計らない以上完成しない事業に対する収用権の発動行為が如何に無意味かチェックする機能がないのは顕著であり、この点から判断しても公益性が発生しえない事業と事業認定告示の内容と異なる事業につき、裁判官としての法の良心に基づくものでなく、既に裁判以前に答えを決めている点からいっても前記憲法に違背した裁判官の独善的専横である点において憲法違背の違法が存在する。

〈10〉 原判決の理由三の8に法令解釈適用等の違背の違法が存在する。

(1) 経験則違背の違法が存在する。

起業者には土地収用法に関する内部規定があり、且つ各地の収用委員会及び各都道府県にたいし指導する立場からいわゆるマニュアル本として『収用と補償』と題する文献で明らかにされているが、現在土地登記簿に公信の原則が適用されていないので、相続手続きの完了していない場合においては、被相続人からの生前贈与を受けた相続人は被収用者の対象から外すという事である。

すなわち、上告人らが本件事業認定区間内の故辻田国衛名義の土地所有者及び関係人であるが、そもそも起業者らは昭和四九年七月の行政の撤回権行使の事実を知る上告人らを排除する目的で故意に本件各裁決申請において無権限者たる訴外辻田由喜年を土地所有者として、上告人らの徹底的排除をなしてきたものであり、その原因も昭和五七年一〇月二四日稲築町大字山野字白門六六番の二の故辻田国衛名義の家屋が放火で全焼させられた後に、訴外建設省と辻田由喜年との間でなした行為の正当性の問題であり、原判決をなした裁判官らは職務上顕著な事実として訴外辻田由喜年が被相続人辻田国衛の相続人として生前贈与を受けた事を上告人千鶴子との離婚裁判の過程において事実認定してこの事実を熟知しており、建設省の内部規定や指導している事と違う行為をなす権限が与えられていない点及びこの場合の起業者が公務員である立場からいっても、不偏不党で職務を遂行していない点からいっても、土地収用法第四七条本文明定事項に照らし原判決に前記法令違背の違法が存在する。

ましてや、事業認定告示の交渉になる上告人らに一切の事業説明をしていない事になるのは原判決文中からも容易に推察される以上、適法な手続きとして収用権発動行為かの是非を判断しない点においても経験則に違背している。

(2) 土地収用法第四七条本文違背の違法が存在する。

原判決は土地収用法第二〇条二号違背は事実認定の違法であるから本件事件での主張は許されないという要旨であるが、土地収用法第四七条本文は土地収用法いずれの法令違背の場合には被上告人に『却下裁決』義務を課している以上、原判決が前記法令に違背している。

(3) 原判決が憲法第三一条に違背している違法が存在する。

原判決は事業認定に関する行為については本件事件にては争えないとしているが、土地収用法に関しての違背行為についても収用委員会に職務義務が課せられているのは土地収用法第四七条本文明定事項から顕著であり、事業認定は土地収用法の中の行為であり、事業認定という特別の法律でなく、土地収用法自体の収用権付与の行為の前提必須要件である以上、その行為の瑕疵を判断しないのは土地収用法についての審理について定めた被上告人の職務義務に違背し、法により却下裁決を求める上告人らの請求を明定条文にもかかわらず認めていない原判決に前記憲法違背の違法が存在する。

(4) 原判決に憲法第三二条違背の違法が存在する。

原判決は事業認定の違法の主張すら認められないと摘示しているが、上告人らは最初から収用自体が不当として『却下裁決』を求めたものであり、その却下の要件が土地収用法にて明定されており、その土地収用法に基づく適法な攻撃防御権そのものが主張すら許されないという点において、原判決に前記憲法違背の違法が存在する。

(5) 原判決に憲法第七六条二項違背の違法が存在する。

原判決は土地収用法の明定事項に基づく正当な上告人らの主張さえも認めず、裁判例の多数も収用裁決取消訴訟にても事業認定の違法の承継が認められているのに、上告人らには認めず且つ土地収用法第四七条本文に基づき主張しても主張自体が許されないとして行政行為の無責任な追随をなしている原判決は行政による終審としての裁判行為の禁止を定めた前記憲法に違背しており、事業認定に関する手続きにおいては上告人らは一度の抗弁の機会も与えられておらず訴外起業者の一方的告示行為について、その違法性について告示行為以前の段階にて適法に意見を陳述する機会すら保障されていないのに、事業認定といえども土地収用法の明定事項であり、その事項の違背行為は土地収用法第四七条本文規定により被上告人に審査義務があり、この点を審理する事なく、行政行為の追随の原判決に前記憲法違背の違法が存在する。

(6) 原判決に憲法第七六条三項違背の違法が存在する。

原判決は事業認定の違法の主張は許されないとしているが、土地収用法第四七条本文からいえば被上告人に審査義務があり、且つ上告人はその取消としての却下裁決をなさなかった違法の理由としての土地収用法各条項違背を主張出来るのは経験則に照らして顕著であり、この点からいっても原判決が法の良心に基づくものでなく、上告人ら憎しの一念の裁判官鍋山健の独善的専横が存在しており、前記憲法違背の違法が存在する。

〈11〉 原判決理由三の9に法令解釈・適用等の違背の違法が存在する。

(1) 原判決が信義誠実を定めた民法第一条二項に違背している。

原判決は強制収用等の手続きをしないと言明した事があっても、本件各裁決申請において表示されたものと内心の真意が異なるとは言えないとしているが、民法第九三条の表意行為は無効とはならないのは顕著な事実であり、その表意者は建設大臣であり、その大臣が挙動矛盾の行為をなしている本件事件について信義誠実の原則に違背して無効であり、原判決に前記法令違背の違法が存在する。

(2) 原判決が経験則に違背している違法が存在する。

本件事件は原判決理由三の7にても認定のとおり昭和三〇年ころからの立ち退き話があっては立ち消えを繰り返した事実を認定しているが、土地収用法発動は私権を不当に侵害する蓋然性が高いから国会の付帯決議もなされている以上、その事業をするとかしないとか国民たる上告人側の意向とは全く無縁にて建設大臣によって繰り返されたものであり、その観点からいっても国民の幸福追求権からいっても自らが昭和四九年七月に今後築堤の為の立ち退きの必要性を否定したる事実が存在するから、土地収用法等の強権発動はしない事を言明したる以上、その実体たる撤回権の行使の判断なくしての原判決が経験則に違背している。

(3) 原判決が憲法第一四条一項に違背する違法が存在する。

原判決は、本件各裁決申請が内心の真意と異なるとはいえないというが、そもそも表意者は建設大臣であり、その表意行為の相手方は上告人らであり、上告人らが表意行為者たる建設大臣の行為を信じたものであり、原判決理由三の8にても河川法違背の行為を認定しているが、そもそも土地収用法の前提の手続きとしても公正な職務遂行が出来ず且つ、表意行為者が表意行為の相手方に対し強制収用等の手続きをとらないと言明すれば当然に本件一連の行為自体が信義誠実の原則に照らしても許されず、且つ民法第九三条の観点からいっても表意行為は無効とはならない以上、法の適用解釈が恣意的である点において前記憲法に違背している。

(4) 原判決に民事訴訟法第三九五条一項六号違背の違法が存在する。

原判決は民法第九三条の解釈につき恣意的であり、民法第九三条の但し書きを表意行為者が表意行為の相手方が冗談や嘘と知っていた場合のみに無効となり、それ以外に表意行為は無効とはならない条文であり、表意行為をなす者の内心の真意が表意行為の相手方らには判断出来ないから民法の原則として表意行為の責任を持たせているのであり、実際の内心の真意がどうであれ、表意行為の相手方たる上告人らに対し強制収用等の手続きをなさないと言明している行為から言えば、当然に先行行為(強制収用等の手続きをしないという行為)と本件後行行為についての関係で言えば、本件後行行為の一連の手続き自体が無効であるからして、その有効性に繋がる判断過程が全く不明である点において前記法令違背の違法が存在する。

(5) 原判決に民法第九三条に違背した違法が存在する。

原判決は表意行為の問題であり、内心の真意は表意行為の相手方たる上告人らの場合には無関係であるのに、内心の真意の問題で排斥しているが、そもそも民法第九三条に基づいて表意された行為は要するに強制収用等の手続きをしないという事であり、本件事件は強制収用の手続きであるからしてその行為が許されない無効行為であるとしているから、原判決が前記法令違背の違法が存在する。

無効原因から有効な行為が発生しないのは経験則からも顕著であり、被上告人が裁決各申請をなされても民法の基本原則に基づき審理以前の却下の対象となるべきものであり、この点からいっても無効原因から有効行為を導き出している原判決が前記法令に違背している。

(6) 原判決に憲法第一五条二項違背の違法が存在する。

民法第九三条の解釈は、要するに表意行為の相手方には表意者の内心の真意迄不明であり、表意行為の相手方を保護する条文であるのに、表意行為の相手方の内心の真意は問題でなく、且つ本件事件にては一度も表意者たる訴外起業者建設大臣の証明なくして、証拠による事なくした違法は治癒されず、一方のみに荷担している原判決は明らかに公務員の本質を定めた前記憲法に違背しており、原判決をなした裁判長鍋山健は国と同一の意見の持ち主であり、この点からいっても明らかに原判決が公務員の本質を定めた前記憲法に違背している。

(7) 原判決に証拠による事なくした違法又は理由齟齬の違法が存在する。

民事訴訟法第三九五条一項六号違背の違法が存在する。

原判決は民法第九三条の解釈につき、原判決は表意者たる訴外起業者建設大臣の内心の真意が異なるとは言えないし無効とは言えないとしているが、そもそも民法第九三条にての表意行為は表意行為の相手方たる上告人らに対する信義誠実の原則として自らが表明した行為を取らない(強制収用等の手続き自体を指すものである。)のに取った行為自体が無効を問題としているのに、民法第九三条の但し書き部分の立証は訴外起業者がなすべきものであり、この点の立証は一審から全くなく、信義誠実の原則からいっても何故民法第九三条の解釈の通例からいっても無効にならない判断過程が全く不明であるからして、原判決に証拠による事なくした違法及び理由齟齬の違法が存在する。

(8) 原判決に権利の濫用の違法が存在する。民法第一条三項違背の違法。

原判決は内心の真意と異なるとは言えないというが、そもそも訴外起業者が土地収用法に基づく強制収用等の手続きをしないと言明している以上、その行為と異なる本件一連の行為自体が権利の濫用であり、前記違法が存在する。

〈12〉 原判決理由三の10について法令解釈・適用等の違背の違法が存在する。

(1) 原判決に理由不備又は齟齬の違法が存在する。

民事訴訟法第三九五条一項六号違背の違法が存在する。

原判決は収用の範囲の設定は相当であるとしているが、そもそも収用委員会に付与された権限は事業に必要な最低範囲の収用権の審理であり、当該地区の計画高水流量から判断される堤防の天端幅について過大の収用について必要性がなく、本件事業には堤防道路を併設するという理由であるが、建設省河川局によれば堤防に道路を併設すれば堤防本体が脆弱になる危険性が高いというし、且つ長良川水害訴訟の上告審判決にても御庁が認定した浸潤破堤の原因たる堤防の地盤につき当該白門地区を含む筑豊地域全体が石炭鉱害による地盤が脆弱地帯であり、この点からいっても収用の範囲が相当としている原判決に理由不備又は齟齬の違法が存在し、道路機能については既に代替機能として県道飯塚山田線を新設している以上、過大な収用をなす理由がなく、本件収用裁決に基づく平成五年一月二〇日の代執行後には事業認定本体工事では通行止めがなく、事業認定と全く関係がなく、堰の改修によって八ヵ月以上も通行止めにしても上告人ら以外に支障がない以上、過大な収用自体が権利の濫用であり、毎秒一一五〇トンの計画高水流量に対する堤防の幅について、基準設計よりも過大な収用を必要とする理由不備があり、その点につき原判決は単に相当としているが、被上告人には却下裁決義務として土地収用法第二六条の告示された事業と同一かチェックする義務がある以上、堤防道路が必要か否かについて安全性の観点からの機能チェックをしなかった以上、原判決に至る過程が全く不明である点において前記違法が存在する。

(2) 原判決に憲法第二九条三項違背の違法が存在する。

上告人らは最初から土地収用法第四七条本文による却下裁決を求め、その立場において起業者の違法を立証すればよく、土地収用法の根本法規は憲法第二九条三項である以上、正当な補償について、最高裁が完全な補償を判示している以上、その点の違法からいっても、事業認定告示の時点において、既に起業者建設大臣に公平な職務遂行が出来ない事実として、昭和五七年の買収坪単価と本件事件での収用の価格にて違法性を立証しており、農業調査自体を起業者がなしていない以上項目としての裁決が缺けているので裁決自体の欠缺が補正出来ず、土地収用法第二〇条二号の『能力』の観点からいっても国民に対し正当な補償が出来ないと収用委員会の場で宣言している起業者の本件裁決申請行為につき、土地収用法第一三三条の問題以前に却下裁決義務を負う被上告人の職務遂行に前記憲法違背の違法が存在する。

被上告人には高度な学識経験が要求され、且つ特別公務員として当然に判例法源伴う義務が課せられている以上、最高裁判例に基づき正当な補償とは完全な補償が判示されている以上、その行為自体の違法の立証を上告人らはなせば良く、この点からいっても被上告人の職務義務違背は顕著であり、前記憲法に違背している。

(3) 原判決が信義誠実の原則に違背する。民法第一条二項違背の違法。

原判決は移転費用・土地代金・物件補償、残地補償、農業補償等については土地収用法第一三三条にて主張すべきものであり、本件にて不適法というが、土地収用法自体が憲法第二九条三項を根本とする以上、被上告人には正当な補償がなされているかのチェック機能として審査義務があり、原判決が援用する土地収用法第四八条四項には裁決の要件として補償金額を個人別に記載する義務があり、この点についての審査義務として高度な学識経験を有している収用委員として、世間の物価基準と著しくかけ離れた金額の裁決申請を無審理で形式的審査のみで(行政行為の立証配分からいっても違法である。)あとは土地収用法第一三三条により争えば良いとの職務放棄は断じて許される行為ではなく、上告人らが現在の物価水準を無視していると反対の意向を収用委員会の場にて表明している以上、被上告人には起業者建設大臣の見積りの根拠となる『歩掛り表』を提出させチェックする権能を要求される以上、その判断過程が全く不明であり、この点からいっても明らかに原判決に前記違背の違法が存在する。

(4) 原判決に憲法第七六条二項違背の違法が存在する。

原判決は要するに収用範囲は相当であり、損失補償等は別訴にて主張すべき事由としているが、土地収用法自体が収用委員会に憲法第二九条三項に基づき被収用者たる上告人らに対し正当な補償を義務づけているし、原判決援用の土地収用法第四八条四項には裁決要件としての所有者・関係人別の金額の記載要項があり、この金額に上告人らから憲法違背の主張がなされた場合には土地収用法第四七条本文規定により当然に審査義務があり、この点からいっても行政行為の無責任な追随で収用委員会自体が機能していない以上被上告人の行為に重大な瑕疵が存在している以上、ましてや憲法違背の行為の是認の行為自体が終審としての行政による裁判行為で是正が出来ないのに、原判決が是正しない点からいっても前記憲法違背の違法は治癒されない。

(5) 原判決に憲法第七六条三項に違背している違法が存在する。

原判決は形式的な審査で後の金額の不服は別訴にて主張すれば良いとの事であるが、土地収用法自体が憲法第二九条三項を根拠としている以上、既に国民に対する平等及び公平の観点から既に起業者たる建設大臣に公平な職務遂行能力及び差別として事業認定告示の土地基準につき、形式的な審査で有効としているが、被上告人自身が鑑定した土地自体が既に堤防敷地として全く流通しない土地を基準地としている以上、裁決金額云々以前に不当な裁決であり、そもそも行政は唯一不文律として判例法源に拘束される以上、憲法の要請として正当な補償とは完全な補償を義務づけている以上、その補償が出来ないとしている起業者の事業につき審理するまでもなく、却下裁決義務を負うものであり、憲法違背の行為を是認し後に金額的だけの辻褄合わせではなく、国民側に無用の裁判を強いる事自体が収用だけでなく二重、三重の訴訟をさせるのは訴訟経済上からも無意味な行為をさせるのが被上告人の職務ではない筈であり、起業者の能力として事業認定告示後に起業者の能力について十分な事業遂行能力がない事も判明する以上、憲法違背の主張につき全く判断しない原判決は裁判官の良心として法の良心に基づくものである事を定めた前記憲法に違背している。

(6) 原判決に憲法第三二条に違背する違法が存在する。

原判決は要するに形式的審査のみで、金額等については別訴にて争えば良いという判断であるが、本件一連の取消訴訟にては形式的審査及び行政行為の優先性により行政行為の停止が認められず、執行停止が出来ない以上公正な裁判を受ける権利そのものが侵害され、憲法違背の主張そのものを別訴にて争えば良いとしている点からいっても土地収用法が憲法第二九条三項を根本法規としている以上その違背の事実の審理なくしての原判決及び行政の撤回権行使の事実につき判断の回避で金銭のみの裁判で争えば良いとする原判決が前記憲法に違背している。

〈13〉 原判決理由三の11について法令解釈・適用等の違背の違法が存在する。

(1) 原判決に法定手続きを保障した憲法第三一条に違背する違法が存在する。

原判決は明け渡し裁決につき訴えの利益がないとしている点においては、法定手続きとして上告人らは任意で明け渡した事実はなく、行政代執行については代替的作為義務のみが対象であり、土地の明け渡し及び建物撤去は対象とはなりえず、平成五年一月二〇日実施の代執行が代執行名目の直接強制であり、不法原因を理由として訴えの利益がないとしている原判決は法定手続きを保障した前記憲法に違背し、代執行が完了したら訴えの利益が喪失するという根拠と別個独立処分に対する不服の申し立て権そのものが認められていない点において前記憲法違背の違法が存在する。

(2) 比例原則の観点から原判決の違法について、

原判決は実現不能の行為の強制ではないというが、そもそも民事裁判を例にとっても、訴状にて相手方を特定し、相手方に対し義務の履行を求めるものであるが、本件裁決は本来起業者の内部資料としても土地収用の対象とはならない人物たる訴外辻田由喜年を土地所有者として上告人らを徹底的に排除しようとした為に本件収用手続きになっており、被上告人に公権的に土地所有者の確定権限迄が付与されていないし、土地収用法第四七条本文の却下裁決義務をなさず無理矢理所有者不明とし、且つA又はBでは民事訴訟の債務名義として成り立つかを考察すれば実現不能の行為の強制である事は明らかであり、民事訴訟法及び民事執行法にても強制執行不能原因が行政行為としてなら認められるという点において明らかに経験則に違背し、比例原則に違背している。

債務名義が成立しない以上、その債務名義に基づく強制執行が民事裁判でも出来ないのに、訴えの利益が喪失するという論理は理由不備であり、比例原則からいっても国民の権利を認めていない原判決に前記違法が存在する。

(3) 経験則違背の違法が原判決に存在する。

原判決は実現不能の行為を強制する的確な証拠がないとしているが、そもそも土地収用法は日本国憲法第二九条三項であるからして、且つ正当な補償については土地収用法につき最高裁は完全な補償を判示している以上、上告人らは起業者の能力がない事として土地収用法第二〇条二号に違背するとして憲法違背の事実を列挙して具体的金額を起業者側の証拠にて立証しており、事業認定告示後の土地価格の固定以前において、当然に前記憲法違背の立証をなした場合に他に審理する迄もなく裁決申請の決缺が補正出来ない事は顕著であり、この点からいっても憲法違背の行為の強制を強いる原判決は明らかに経験則に違背している。

(4) 原判決が憲法第七六条二項に違背している。

原判決は明け渡し裁決自体につき訴えの利益が喪失したとしているが、そもそも別個独立した行政行為及び上告人らは任意にて土地を明け渡し事実はなく、行政代執行名目の直接強制により権利を侵害されているに過ぎないのに、訴えの利益が喪失したとして行政行為の司法審査権として裁判を受ける権利そのものを絶対に認めない点において、且つ明け渡し裁決だけが有効とは土地収用法自体からありえず最初に答えありきで行政追随で司法審査権を認めていない原判決に前記憲法違背の違法が存在する。

(5) 原判決に憲法第七六条三項違背の違法が存在する。

原判決は権利取得裁決につき、実現不能の行為の的確な証拠がないとしているが、上告人らは現在の物価水準(職務上顕著な事実)として人夫の手間賃から判断しても権利取得裁決自体が違法であり、土地収用法は適法行為の不法行為である以上、その前提として上告人ら被収用者に対し正当な補償なくしての権利取得裁決自体が実現不能の行為であり、明け渡し裁決の前提は権利取得裁決である以上、その権利取得につき瑕疵があれば当然に明け渡し裁決に瑕疵が生ずるのは自明であり、上告人らは現在の物価水準としての人件費としても移転行為も出来ない事実を立証しており、この点については行政事件の立証配分からいってみ被上告人が適法行為の立証義務があり本末転倒である。

土地収用法は単一項目の違背は総合的見地から十分な補償がなされていた場合には合法としているが、そもそも土地価格のみで既に事業認定告示基準の一〇年前の基準で既に憲法違背が判明し、且つ他の要素からいっても適法性が是正出来ない行為が判明している以上、土地収用法第四七条本文明定事項による却下裁決をなさない被上告人の行為及びその行為を是認する原判決は明らかに法の良心を定めた前記憲法に違背し、裁判官の独善的専横の違背が存在する。

〈14〉 その他、

原判決に法令違背等の違法が存在する。

(1) 事業認定について事業計画から四〇年経過して土地収用法の一連の行為をとる事の違法性について、原判決は収用の必要性及び緊急性を是認しているが、河川改修は一連の繋がりがあるのは顕著な事実として、

原判決理由三の7にて認定している昭和三〇年ころからの立ち退きの話が出ては立消えを繰り返した事実について、

I 財産権を保障した憲法第二九条一項に違背している。

II 地域住民を数十年に渡り翻弄している事に関して憲法第一三条の幸福追求権を侵害している違法が存在する。

III 国民に対する国の安全基準が恣意的であること及び明確な基準がないままの収用権発動について、憲法第一四条一項違背の違法について、現在国の安全基準が達成されていない地域もあるのに、過大な基準設定をする行為そのものが一部業者らの工事確保の為の事業であり、断じて許されるべき行為ではない。

IV 土地収用法が事業計画開始から四〇年してまで発動を予定している根拠がなく、この点からいっても権利の濫用であり、民法第一条三項違背の違法が存在する。

V 現在代執行実施後も堤防未完成すなわち事業認定告示の事業については権利の消滅をはからなかった以上事業計画の完成が未定につき確定した事は顕著な事実であるが、そもそも完成を目標としない事業につき土地収用をなす行為自体が被上告人の権利の濫用であり、この点からいっても原判決に民法第一条三項違背である。

(2) 原判決が理由三の5にて被上告人に土地所有者及び関係人についての判断権限があるとしている点において、

I 被上告人に公権的に土地所有者等の権限があるとしている点において土地収用法にも明記されておらず、且つこの点は明らかに憲法第七六条一項に違背している。行政による司法権の侵害である。

II 原判決は更に代執行が完了したら明け渡し裁決の訴えの利益が喪失したとしているが、そもそも現行憲法下では人権侵害の違法により旧行政執行法が廃止されているのに、違法行為でも力が正義を実践したものが得をするなら法治国家の否定であり行政事件訴訟法自体がみせかけのもので憲法第三二条に違背している。

(3) 原判決が土地収用法の根本法規たる憲法第二九条三項に違背の事実の立証につき、別訴の損失補償増額請求事件で争えば良いとしているが、そもそも土地収用法は前記憲法を根拠としている以上、公正に職務執行が出来ないとしている起業者の行為を上告人らが立証しており、この点は土地収用法第二〇条二号の要因であるからしてその点につき土地収用法第四七条本文規定の職務遂行をなさない被上告人の職務行為は明らかに一方に荷担した行為であり、明らかに上告人らの差別を是認している原判決に憲法第一四条一項違背の違法が存在する。又、憲法第一三条に違背している。

(4) 原判決が収用の必要性及び緊急性を認定している点において、起業者には事業認定告示の時の土地価格基準でなく、事業認定の十数年前の価格にてしか補償できないと言明しているのに、且つ被上告人は故意に本来不動産鑑定においても通常取引の対象とはならない既に河川敷地になっている土地を標準地にして起業者の価格に擦り合わせている点においても明らかに憲法第一四条一項の差別であり、一方に荷担した行為であり、この点からも憲法第一五条二項違背の違法が存在する。

(5) 原判決は収用委員会の各裁決を是認しているが、そもそも民事訴訟法の適用があるのは行政事件訴訟法にも明文してあり、上告人らが適法な取消訴訟を提起したるに、代理関係の違法に基づく無効原因とする行為の無効性についての相手方から適法なる答弁書の提出がない場合には上告人ら勝訴になり、各裁決書の処分自体が取消になるのであるが、原判決をなした裁判官らは最初に答えありきの実践で、力が正義の実践を是認しているが事実審の最終審としての事実を事実として見る眼での判断でなく、事実を摺り替えた判断は明らかに裁判官の職務権限の濫用であり、独善的専横の違背が存在し、憲法第七六条三項に違背している。

(6) 原判決は事業認定に関する明白重大な瑕疵がないとしているが、そもそも事業認定取消訴訟にても認定されている飯塚市中心街等の洪水の原因除去なくしての収用の是非につき、国の河川水害訴訟にて繰り返し主張されてきた事項(「河川防災上の技術的制約としての下流から上流への基本原則」及び「経済的制約として一度の同時着手が出来ない」)につき挙動矛盾が発生するから、被上告人に当然の審査義務が形骸化した違法があり、憲法第一四条一項違背が存在する。

又、土地収用法の発動のルールからいっても権利未収用が確定したる以上、事業計画内の権利取得が八〇パーセントに満たない行為にもルールを無視して土地収用権の発動を是認した行為自体が建設省内部規定にも違背した権利の濫用である点において被上告人の職務義務を遂行しない事も民法第一条三項に違背している。

(7) 法定手続きを保障した憲法第三一条に違背する。

控訴審にて上告人らは書証を提出したが陳述さえも認められなかった以上、最初に答えありきの為であり、既に上告人らに保障された法定手続きに違背している。行政事件にて本件憲法の適用があるのは御庁成田新法関係により顕著である。

以上

(添付資料一ないし五略)

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